晩春の高い陽のした
ねむっていた虫と土を
父と一緒に畝に起こした
指さきでまばらに土を突き
息で飛んでいきそうな小さな種を
おそわった数ほど 穴におとしていく
庭の池から汲んできた重たい如雨露を
慎重に傾けて
その上へ注いでいく
両手で穴をふさぎ
最後に如雨露のシャワーを降らす
すぐに芽が出るなんて
かんがえもせず
そして待つ
わたしが植えた
畑仕事の歓びが
土から顔を出す日を想いながら
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