Apr 30, 2025


 晩春の高い陽のした

ねむっていた虫と土を

父と一緒に畝に起こした

指さきでまばらに土を突き

息で飛んでいきそうな小さな種を

おそわった数ほど 穴におとしていく

庭の池から汲んできた重たい如雨露を

慎重に傾けて

その上へ注いでいく

両手で穴をふさぎ

最後に如雨露のシャワーを降らす


すぐに芽が出るなんて

かんがえもせず


そして待つ


わたしが植えた

畑仕事の歓びが

土から顔を出す日を想いながら



kazemori press