Jun 11, 2026
Dec 24, 2025
nakaban画集
「In Modest Blue」(ELVIS PRESS)
100ページを超えるその全てが描き下ろし。
彼がひろいあつめてきたモチーフを両手のひらから目のなか、足の裏、架空の街の路地をめぐり、アーチをくぐり、空気を吸い込み 五感で転がす
平面を溢れるミルキーで豊かな色彩が、丸みを帯びた境界につつまれているのが魅力で、私が惹かれ続ける理由なんだと思う
ライト、湯気、水のゆらめき、移ろう雲…
描かれてはいない人々の営みをたしかに感じる風景。
静物画でいて動いているぬくもり。
すでに宝物の一冊です。
nakaban exhibition
2025.12.9 - 2026.1.12
at ON READING
at babooshka
In Modest Blue ELVIS PRESS site
Oct 6, 2025
May 21, 2025
Mar 11, 2025
雪が絶え間なく降り続いていて
まだ実家暮らしだったわたしはひとり
危険なことはわかっていて
火を絶やせずにいた 薪ストーブの前で
毛布にくるまり
静寂と薄闇のなかで
まぶしい無声映画のスクリーンみたいに光る窓を
ぼんやりと見上げていた
家族が帰って来る車の音を待ちながら
それが永遠に聴こえなければいいのに とも
本気で思っていた
あの日の わたしがいた
前年の最後に
初めてたくさん語らったひとは
海のそばに住んでいると話していた
彼女の命は あの日 海のむこうへいった
私も隅に小さな作品を並べた 父の展覧会場だった
水産会社の建物が なくなって
春の湿ったつめたさに ひたしてある
あの時の これっぽちと
それからの いくつもの 喪失の記憶
でも 何も知らない
本当のことは
誰かの本当も
わたしが失くしてきたものが 何なのかも
自分のことすらようやく
知ろうとしている今だって
もう遅いのかもしれない
それでも あきらめの悪い質のおかげで
放りだすこともできずにいるわたしが
今日も ここにいて
また
わすれていく
とまどっていい
とどまることは なくていい
なかなか減らない絵の具で
きれいごとをかさねては ぬぐった物語を
選び続けられるように
明日のわたしへ
mar,2025