" 「一日一日」 (One Day at a Time) は、積み上げるもんじゃない "
____ T.I
点々と光っているものが星のようだと思っていたけれど
地表に星はないから
たぶん光る石(だったらいいな)
自分で置いたものなのかな
でもそれは今立っているこの先に光っていて
不思議でならない
たどり着く場所は安心できる塒だろうか
それとも魔女付きのお菓子の家?
何であっても心は惹かれつづけていて
光もまた チカチカと明滅をつづけている
月明かりがなくても
ひろいあつめにいこう
いそがずに
- 2023年1月27日の日記より
絵を描くなかにいつも際立って光っているものや部分を描いている。何故か描かずにはいられなくて、
私が常に希求している何かなんだろうなということは知っている。
その光や灯りは目的地や答えとは限らないことも。
3年前の私が記した日記をふと思い出した。
安心感に似た明滅を頼りに、
知らない森に迷いこむのもおそれずにいたい。
こえも
ねつも
だれのかざす てのひらも
くくりつけておくひもも
あらゆるものを透過して
とどめおくことのできない
質素ないすに
もたせかけても
すぐにころころ
ころがって
するどくとがった
もろいからだは
つねにひびわれ
そこからとめどなく
なみだをながして 欠片をひきとめ
こなごなになりきることすら
かなわない
ころころ
ほろほろ
すりぬけ ころがりつづける
はかなく鋭利な
クリスタルは
いずれ 湿度を保ちはじめ
そこらの微粒子やら
微生物をくっつけて
ますます
奇妙なかたまりになって
18年さきをあるく
わたしの背中に
ゆきあたる
一塊はわたしをとりこんで
アンバランスに
ころがっていく
尖りをうしない
糖度をます表皮に見えかくれする
なみだのひび跡が
高純度の太陽をあびるたび
ひかりのかけらを吹いている
kazemori press
雪が絶え間なく降り続いていて
まだ実家暮らしだったわたしはひとり
危険なことはわかっていて
火を絶やせずにいた 薪ストーブの前で
毛布にくるまり
静寂と薄闇のなかで
まぶしい無声映画のスクリーンみたいに光る窓を
ぼんやりと見上げていた
家族が帰って来る車の音を待ちながら
それが永遠に聴こえなければいいのに とも
本気で思っていた
あの日の わたしがいた
前年の最後に
初めてたくさん語らったひとは
海のそばに住んでいると話していた
彼女の命は あの日 海のむこうへいった
私も隅に小さな作品を並べた 父の展覧会場だった
水産会社の建物が なくなって
春の湿ったつめたさに ひたしてある
あの時の これっぽちと
それからの いくつもの 喪失の記憶
でも 何も知らない
本当のことは
誰かの本当も
わたしが失くしてきたものが 何なのかも
自分のことすらようやく
知ろうとしている今だって
もう遅いのかもしれない
それでも あきらめの悪い質のおかげで
放りだすこともできずにいるわたしが
今日も ここにいて
また
わすれていく
とまどっていい
とどまることは なくていい
なかなか減らない絵の具で
きれいごとをかさねては ぬぐった物語を
選び続けられるように
明日のわたしへ
mar,2025