何が気に入ったのか
家の東壁を執拗に突くアオゲラがいた
たびたびやってきては穴を増やす
薄い板壁の穿ち具合や そこから伝う自分の音が
心地よかったのだろうか
とは言えその間絶えず
けたたましいドラミングは家中に鳴り響き
私たちを辟易させた
カカカカカ ココココココ
春の乾いた林の中から不思議な音が聞こえてきた
誰かいる 木を叩いてる
思わず耳をそばだて目をこらす
コココココ
ヒトじゃない...
背筋にひやりとしたものが下りる
知識の浅い私は遅れて ああキツツキ と気づくのだが
あまりに作為的で不可解なその音に
キツネにつままれたような思いがした
(その後アオバトやアオバズクの声にも同様の反応をする)
今も私の耳の奥で 孤独な木霊が啼いている