小さな夢と 不安を抱えて
自分が思う道を 歩いている
どれだけ 遠回りになったとしても
いつか 目指したその場所へ たどり着けるはず
春は来て 春は行く
生きて行けば また 時は来る
誰かを 幸せに出来るとしたら
きっと それが いちばん 幸せなこと
この街にまた 春が 帰って来た
少しだけ強く
今 風が吹いた
so far so good- Kazumasa Oda
小さな夢と 不安を抱えて
自分が思う道を 歩いている
どれだけ 遠回りになったとしても
いつか 目指したその場所へ たどり着けるはず
春は来て 春は行く
生きて行けば また 時は来る
誰かを 幸せに出来るとしたら
きっと それが いちばん 幸せなこと
この街にまた 春が 帰って来た
少しだけ強く
今 風が吹いた
so far so good- Kazumasa Oda
アクリルフレームの
水面の向こうに 瑞々しい世界を見た
テレビ石よりも 鮮明に
こちらの感覚野が拡張される
雪のにおい
潮騒
湿り気
体温
彼女がみた そのとき そこに
わたしも 肌で在ったような展示空間
もし温かな氷があるとしたら
極地の混じり気のない透明度をもった氷が
TOMOE KASHIWAYA photo exhibition
3.1 - 3.31. 2025
雪が絶え間なく降り続いていて
まだ実家暮らしだったわたしはひとり
危険なことはわかっていて
火を絶やせずにいた 薪ストーブの前で
毛布にくるまり
静寂と薄闇のなかで
まぶしい無声映画のスクリーンみたいに光る窓を
ぼんやりと見上げていた
家族が帰って来る車の音を待ちながら
それが永遠に聴こえなければいいのに とも
本気で思っていた
あの日の わたしがいた
前年の最後に
初めてたくさん語らったひとは
海のそばに住んでいると話していた
彼女の命は あの日 海のむこうへいった
私も隅に小さな作品を並べた 父の展覧会場だった
水産会社の建物が なくなって
春の湿ったつめたさに ひたしてある
あの時の これっぽちと
それからの いくつもの 喪失の記憶
でも 何も知らない
本当のことは
誰かの本当も
わたしが失くしてきたものが 何なのかも
自分のことすらようやく
知ろうとしている今だって
もう遅いのかもしれない
それでも あきらめの悪い質のおかげで
放りだすこともできずにいるわたしが
今日も ここにいて
また
わすれていく
とまどっていい
とどまることは なくていい
なかなか減らない絵の具で
きれいごとをかさねては ぬぐった物語を
選び続けられるように
明日のわたしへ
mar,2025