Jul 10, 2021



 一昨日の夕方霧雨にそぼ濡れた林で
ヒグラシが鳴きだした
唐突に というより
街路灯が定時にぽうっと灯るみたいに
去年の夏のつづきを語り始めるように

まだじりじりと照りつける真夏の光も
けたたましいほかの蝉たちにもさきがけて
一番手の彼は梅雨のただなか心許なげに
夏を謳う