Jul 14, 2021






Jul 10, 2021

 



網代幸介さんの絵本原画展へ。

不穏だ
ゆうびんやさんの懐中電灯の灯りを頼りに目をこらす
廃墟のにおいが立ち昇ってくる
外を濡らす細雨のようなテクスチャ
異形の者たちはみな 異国のふうを醸しつつ
日本の妖怪にちかしい化け物
懐かしく おぞましい
世界に忽ち魅入られる

不穏だ

懐中電灯はゆうびんやさんのパートナーのよう
登場人物のひとりだ
その手を離れ なお光を放ちながら 
闇のなかへ落ちていく懐中電灯が
せつなくてならない



網代幸介『てがみがきたなきしししし』原画展
2021.7.10-8.7













 一昨日の夕方霧雨にそぼ濡れた林で
ヒグラシが鳴きだした
唐突に というより
街路灯が定時にぽうっと灯るみたいに
去年の夏のつづきを語り始めるように

まだじりじりと照りつける真夏の光も
けたたましいほかの蝉たちにもさきがけて
一番手の彼は梅雨のただなか心許なげに
夏を謳う







 







雨をあつめる

2021

ink,colordpencil on paper