Dec 13, 2021


数年前の初夏

実家の庭の 朽ちかけたモミの木に

次から次へとリスが群がっているのを見た


かつて 年に一度 庭から掘り起こされては 

飾りをぶらさげ 星をのせ

薪ストーブの傍らで 一家のクリスマスを彩どり

それ以外 庭の片隅でひっそりと次の冬を待っていた

子供たちと同じように 年々大きく育ち

鉢へ庭への引っ越しも 一苦労どころではなくなり

しまいには量産されたポリエチレンのツリーに

持ち場を取って代わられ

しっかりと根を張る自由を得た

それでも毎年 クリスマスが近づくと

梯子をかけられ

うんと伸ばした手で星飾りだけをのせられたりもした

雪に埋もれた庭で 窓の中からときおり注ぐ

一家の視線も感じていた


常緑の枝葉は 赤茶けて枝垂れ

立ち枯れゆく彼の 最後の仕事が

何だったのかは わからない

リスたちの目的も


幹だけになった今も

トーテムポールよろしく

根を下ろしたその場所で 

ただ静かに屹立している